健康になりたい、なにを食べよう

バランスが大事なのは西も東も同じだが

バランスよく何でも食べるのが大事である、ということに異論のある人はあまりいないと思います。いろいろなものを食べなければ、炭水化物(糖質)、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルを体に取り入れることができません。昨今「糖質制限」の是非が問われていますが、これは糖質を過剰に摂取している人にのみ当てはまるもので、栄養が偏るのががよくないのは糖質に限ったことではありません。

東洋栄養学

東洋医学的にみても、五臓六腑を養い、気血水を巡らせるためにバランスよく食べることはとても大切です。東洋医学では西洋の栄養学とは異なり、さまざまな栄養を体内に取り入れるために、食べ物の味や色、食材のもつ寒熱の違いを意識して食べることで、栄養が偏らないようにしています。味は、酸・苦・甘・辛・鹹(しおからい)、色は、青(緑)・赤・黄・白・黒、寒熱は、寒・涼・平・湿・熱の五つに大別できます。

酸:酸味のあるものは収斂の作用をもちます。収斂とは、体から漏れ出るものを止める働きのことです。鼻水や汗が多いときにレモン水や海ジュース、梅干しがよく、また酢やリンゴ・ザクロには「収斂止痢」の作用があり下痢を軽減させるのに効果的です。

※リンゴやブドウは元々は「酸」の食べ物のはずでしたが、現在では甘くなってしまっています。一般的に酸味や苦みなどはあまり好まれる味ではありませんが、体にとっては必要なものです。

苦:苦みには清熱の作用があります。フキやゴボウは、発熱や発熱とともに発症している咳を止めたり、胃痛・胃もたれなどに効果があります。ゴボウは「寒」に属していながら体を温める作用があるのは、利尿作用によって体内の余分な水分(痰飲)を除き、気の巡りをよくするからです。

甘:胃腸の働きを整えて「気血」を補います。米、パン、パスタなおど西洋栄養学の炭水化物はどれも甘味に属している他、ジャガイモ、カボチャ、多くの果物、肉類、魚類も甘味を有しています。

辛:辛味は臓腑の肺や衛気との関係が深く、気を体表にもっていくことで発汗・発散を促し防衛力を強化します。風邪のときにショウガやネギ、大根などがよいのは、これらの食べ物はそのような働きを持つためです。

鹹:塩辛い味のことで腎との関りが深く、「潤す」作用をもちながら、大小便の排泄を促します。脱水症を防ぐためには水分といっしょに塩分を取る必要があります。

基本的なことを抑えておけば、栄養学は必要ない

食べるものに興味を持つのは大変よいことです。陽虚タイプの人が体を冷やす食べ物を控え、温める食材を積極的に取るよう心がけるといったことは、毎日を健やかに生きていくために必要不可欠です。いくら他の健康法を行っていても、食事をおろそかにしていては、その効果は半減してしまうでしょう。これさえ食べておけばよいなどという物はなく、一つの食べ物の持つ力がいかんなく発揮されるためには、他の食べ物の力が必要です。このように見ていくと結局のところ、健康のため、または病気から快復するためには、満遍なく何でも食べることが大事であると改めてわかります。その一方で、「満遍なく何でも食べる」ということが出来ていれば一般の人にとって、特別栄養学などは必要ないといえるかもしれません。

馬込沢うえだ鍼灸院

ポパイはホウレン草だけ食べていたのではないはずです。



kiichiro

鍼灸師。東洋医学について、健康について語ります。あなたの能力を引き出すためには「元気」が何より大切。そのための最初の一歩が疲労・冷え症・不眠症をよくすること。東洋医学で可能性を広げられるよう情報を発信していきます。馬込沢うえだ鍼灸院院長/日本良導絡自律神経調整学会会員/日本不妊カウンセリング学会会員//日本動物愛護協会会員

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