ただ痛がるだけでなく腰痛について考える2
慢性腰痛と急性腰痛
腰痛を「時期的なもの」で分類すると、慢性腰痛(持病としての腰痛)、急性腰痛(ギックリ腰)、慢性期の中の急性腰痛(発作)の3つがあります。
慢性腰痛には、スポーツや日常の生活動作よって腰の筋肉に過度な負担がかかり、腰部の筋肉に疲労が蓄積され起こります。その背景に不良姿勢があることもあります。骨格が「正常とされている状態」から逸脱すると、筋肉はより多くの筋活動を強いられることで筋疲労に陥りやすくなり、腰痛を引き起こします。
しかし、腰のとても曲がった老人でも腰痛がない人がいることを考えると、必ずしも姿勢の悪さが腰痛の原因ではありません。
急性腰痛(ギックリ腰)は、慢性腰痛や慢性筋疲労を基盤に起こるものがほとんどです。慢性腰痛や慢性筋疲労によって柔軟性を失った腰部の筋肉は損傷しやすく、損傷した場合、その部分を守ろうとして筋肉はスパズムを起こします(筋肉が固くなるということ)。筋肉が固くなると損傷箇所に負担がかかりやすく、わずかな体動でも激しい痛みを生じることになり、これによって痛みの悪循環が生まれます。
筋線維の損傷度合いによって、治るまでの期間は変わる
急性腰痛の痛みが治まる期間は、筋線維の損傷度合いによって変わります。損傷した筋線維が修復されれば筋肉も徐々に緩みスパズムが無くなっていき、それにともなって痛みも落ち着きます。
筋肉の損傷度合いに比例しない痛み
筋肉の損傷度合いに比例しない痛みがあります。
腰痛は痛む部位は「腰」、それを認識するのは「脳」です。脳内で痛みの「閾値」が下がっていると、脳はわずかな痛みを誇大にとらえてしまいます。閾値とは「痛みのハードル」と考えられ、低いハードルは簡単に飛び越えられてしまうために、このようなことが起こります。
なぜ閾値が下がるのか?
痛みの閾値が下がるとは、痛みに対して敏感になり過ぎるということ。痛みは本来体の不調を教えてくれる大切なものです。なぜ「痛み」という形をとるのかといえば、それは「無視」させないためです。痛ければ動こうにも動けません。組織の損傷が修復され、元の正常な状態に戻るためには動かないでいることが必要だから、体は強制的に安静を強いるのです。このように考えれば痛みはとてもありがたいものです。しかし中にはありがたくない痛みも存在します。それがどのようなものかというと「痛みだけの痛み」です。
組織の修復は終わっている、もしくは損傷していないのに痛みがだけが存在する痛み、そんな痛みはありがたくないどころか、不快であり迷惑なものです。閾値が下がることでこのような痛みがうまれてしまうのですが、なぜ閾値が下がってしまうのでしょう?
閾値が下がる原因
精神的ストレスによって閾値は下がります。体は修復されていたとしても、深層心理が休みを欲しているということです。しかし、腰はすでに悪くないわけですから、この段階で腰だけに何かよいことをしても状況はあまり変わりません。
腰の痛みを和らげるために、例えば腰の筋肉をストレッチしたとします。ストレッチは筋肉を伸ばし血行をよくすることで局所の発痛物質の滞りを解消させ、それによって痛みがなくなるか、もしくは軽く感じるようになります。腰の筋肉組織の修復が終わっていたり、筋肉組織の損傷がない場合でも、ストレッチは痛みに対して有効です。というのは、ストレッチの効果は体に対してだけではなく、こころ(脳)にも影響するからです。
ここで重要なのは、なかなか治らない腰痛を改善しようとストレッチをする場合、ストレッチは体に対してだけではなく、こころ(脳)に対してもーむしろこの段階では、こちら意味あいのほうが大きいー「いい影響を及ぼす」ということを知っていることです。
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