㋮ただ痛がるだけでなく腰痛について考える6

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腰下肢痛

単に腰が痛むものを腰痛と呼ぶのに対して、腰痛にともなって(腰部に原因があって)下肢の痛みやシビレがあった場合、腰下肢痛といいます。腰痛がなく下肢痛だけのこともあり、それについては後述。この場合の下肢痛を坐骨神経痛と呼びます。

〇腰下肢痛を引き起こす原因

腰下肢痛の原因となるものには、椎間板ヘルニア、変形性脊椎症、椎間関節性腰痛の放散痛といったものが考えられます。

◎椎間板ヘルニア

背骨は頚から腰まで、24個の椎骨という骨が重なって形成されています。椎骨と椎骨の間にあるクッションの役割を果たしているのが椎間板です。この椎骨の一部が飛び出た状態を椎間板ヘルニアといいます。

腰から出ている末梢神経は下肢へと伸びているため、椎間板ヘルニアによって神経根が圧迫されると、下肢痛がでます。腰の椎骨(腰椎)は5個あり、中でも一番下の椎間板(第5腰椎、第1仙椎間椎間板)には最も負荷が掛かります。

◎変形性脊椎症

加齢などによって脊椎(椎骨)が変形することで、形成された骨棘によって神経根が障害されます。

◎椎間関節性腰痛(既述)

下肢のどの部分に症状が出ているかで、どこのヘルニアかをおおよそ判断することができます。

・L4神経(L4-L5椎体間):下腿内側

・L5神経(L5-S1椎体間):下腿前面

・S1           :下腿外側 → S1とS2の間に椎間板は存在しないが、 仙骨神経叢によってL4~S4神経は吻合するため、下腿外側に症状が出現する。

また、それぞれの神経が圧迫されることで、次のような筋力や腱反射の低下を起こします。

・L4神経:足関節背屈力低下            PTR(膝蓋腱反射)低下

・L5神経:母趾背屈力低下、足関節背屈力低下  

・S1神経:母趾底屈力低下、足関節底屈力低下    ATR(アキレス腱反射)低下

腰下肢痛の鍼灸治療

〇脊髄神経刺鍼

●脊髄神経後枝刺鍼 :背部一行刺鍼 → 椎間関節性腰痛の放散痛時

●脊髄神経前枝刺鍼 :坐骨神経刺鍼 → 坐骨神経痛時

神経根が障害されることで下肢症状が現れるわけですから、神経根に直接鍼を当てればいいということになりますが、神経根は椎間孔(末梢神経の出口)中にあるため、ここに刺鍼することは非常に困難かつとても強い刺激になり、上2つの刺鍼法が多く用いられます。

〇下肢症状部の刺鍼

下腿外側(浅腓骨神経走行部):陽陵泉、絶骨、丘墟

下腿前面(深腓骨神経走行部):足三里、豊隆、中封

下腿後側(脛骨神経走行部) :承山、崑崙

馬込沢うえだ鍼灸院

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kiichiro

鍼灸師。東洋医学について、健康について語ります。あなたの能力を引き出すためには「元気」が何より大切。そのための最初の一歩が疲労・冷え症・不眠症をよくすること。東洋医学で可能性を広げられるよう情報を発信していきます。馬込沢うえだ鍼灸院院長/日本良導絡自律神経調整学会会員/日本不妊カウンセリング学会会員//日本動物愛護協会会員