太極拳をとおして、姿勢を見直そう「立身中正」
太極拳要諦
要諦とは物事の要となるところです。太極拳は何のためにやるのか?おおよそ、強くなるため、健康になるため、競技太極拳として試合に勝つため、のどれかにあてはまります。つまり要諦が体現できているのであれば、より強く、より健康で、試合において勝つ可能性が高くなるということです。
立身中正とは
立身中正とは、自分の体がいつも平衡と安定が保たれた状態。立身中正とは、外見の体形、姿勢のことだけではありません。この言葉どおりに受け取ると、套路の中でどうしても無理な場面(式)ー簡化24式なら海底針、下勢独立などーがあります。つまり立身中正とは、自分の体に影響する外力に対してバランスの保てる状態、と考えるのが無理がありません。(「太極拳理論の要諦、福昌堂」参考)
立身中正のときに重心はどこにある?
予備勢のときの重心はどこにあるのでしょう?解剖学的に理想とされる立位姿勢時の重心線は、体の横から見たとき、頭頂部(百会と前頂の間くらい)と然谷(内くるぶしの前下方、舟状骨粗面の直下)のやや後方を結んだ線で、その線は股関節中心の後方、膝関節中心の前方を通ります。もちろん人間は動きますから、重心線はこれを基本として前後左右に移動します。
重心線と健康状態
重心線が前側(足の指側)に移ると、自然に足の指に力が入ることになります。腰痛や肩こりを起こしやすい人の重心線は、上記のものよりも後ろにあることが多く、このような人は足の指に体重があまりかからないため、足の指を曲げるなど、足の指に力を入れることが苦手な傾向にあります。とくにハイヒールは指の関節が逆側に曲がった状態になるため、これによりますます指を曲げる、指に力を入れるといったことできなくなります。同時にハイヒールはふくらはぎが常に収縮した状態にあり、これが腰痛や肩こりを始めとする体の不調の要因となります。
太極拳の第一式「起勢」で重心の確認
太極拳套路の第一動作「起勢」は、手の動きとともに、まっすぐに立った状態から少しを腰を落とし、各関節が緩んだ姿勢になっていきます。この動作の中で、腰を落としながら体重が少しだけ前(湧泉)に移動することを意識し、その意識したことが日常の生活でも体現できるようになると、姿勢性の腰痛や肩こりは軽減する可能性が多分にあります。太極拳をとおして自分の姿勢を見直して見ましょう。