膝を傷めないために、跨をつくる
跨とは
太極拳や気功を行うとき、基本姿勢というものがあります。基本姿勢とは、理にかなっていてケガのリスクの少ない姿勢ですから、気功や太極拳をやらない人にも利用価値の高いもので、その一つが「跨」のあり方です。 跨とはとりあえず「股関節」と考えてください。跨は股であり、また「孤」でもあります。
体幹を捻るのは第12胸椎と第1腰椎の間
スワイショウを例に説明します。スワイショウとは、体軸の自転に合わせて、腕を体に纏うように振る運動です。スワイショウなどの気功の多くや太極拳は、馬歩という立位の状態から始まります。
人間の脊柱において体幹部を捻る際に、もっとも可動するのが第12胸椎と第1腰椎の間です。
通常、後ろを振り返る動作を行うとき、 第12胸椎と第1腰椎の間以外にも、膝・股関節 (頚椎も)の動きも伴います。例えば左後ろを振り返るとき、右の膝は内側に入ります(正中線に寄る)。
変形性膝関節症など、 膝の状態の悪い人は後ろを振り返る際に、膝に痛みを訴えることがあります。 それを防ぐためには 、第12胸椎の上だけを捻る体の使い方を覚えることです。このように捻りの動作に他の関節を参加させなければ、膝への負担をかなり軽減できます。
跨をつくるコツ
立位(馬歩)の際の基本姿勢(正しい姿勢、痛くならない姿勢)のためには、膝が内側に入らない(正中線に寄ってこない)ようにします。コツとしては、仙骨をねかせ(腰を反らさない)、膝と膝の間(跨・股)に球体があるように「孤(アーチ)」を意識し、同時に足の指で地面をつかむようにします。すると自然に湧泉穴が床から離れ、やや足の外側(小指側)に体重がかかるようになります。
※元々O脚の人はこれらを意識し過ぎると、ますますO脚になってしまう可能性があります。このような人(O脚の人)は内転筋群(股関節を閉じる筋肉)を使えるようなトレーニング(例えば、両脚の間に適当な大きさのボール挟んで、そのボールをつぶすように内股に力を入れる)が有効です。またO脚の人は、立っているとき、もしくは歩くときなど、土踏まずや内くるぶしに体重が乗るように意識します。
膝を守ろう
健康のために始めたはずの気功や太極拳で膝を傷めて、気功や太極拳を辞めてしまう人がいます。確かに気功や太極拳をやらなければ、その分膝への負担は軽くなります。しかし膝というものは日常の生活で常に使われるものですから、気功や太極拳をやるやらないにかかわらず、膝の痛みを軽減させて快適な生活を送るためには、正しい体の使い方を覚える必要があります。正しい知識をもって行えば、気功や太極拳は膝痛を和らげるための有効なツールとなります。
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