胃を労わって、元気になる
胃のぜん動運動が低下すると消化に時間が掛かり、胃の内容物がいつまでも停滞したままになってしまいます。胃もたれとは、胃の調子が悪くなることで起こる「もたれ感」。ムカムカするような気持ち悪さがあったり、胃が重く感じたりします。「ときどき胃がもたれる」ことは誰にでもあります。しかし一度もたれると治るのまでに時間が掛かる、しょっちゅうもたれているという人は積極的に改善していくことをおすすめします。
胃は土、万物の母
胃は、東洋医学の基本的な理論である「五行説」でみれば、「土」に相当し、木火土金水の真ん中に位置します。「土は万物を生み出す」の言葉の通り、とても重要なものです。いつも胃もたれているような状態では、なんであれ力強く行うことはむずかしいでしょう。
胃がもたれてしまう生活習慣
●冷たいものの取り過ぎ
冷たい飲食物のとりすぎは胃を弱めるだけでなく、体全体を冷やします。筋肉が冷えるとケガが増えたり、パフォーマンスが低下したりしてしまうように、体が冷えることで各器官・各臓腑はうまく働くことができなくなってしまいます。
●お酒の飲みすぎ
お酒を飲み過ぎてアルコールを代謝しきれないと、体内にアセトアルデヒドという物質が残り、これが胃もたれを起こします。東洋医学でも、痰湿が胃の不調をもたらすと考えます。痰湿とは、代謝不十分で処理しきれず体内に残ってしまった余分な水分です。
●食事の時間が不規則
人間の生活にはリズムがあり、不規則な生活だと自律神経もうまく「波にのる」ことできません。決まった時間に食事をすると、そのサイクルに合わせて胃が働くようになります。「食べたいときにだけ食べればよい」とは、これは調子の悪いときに無理をして食べるのはよくないという意味です。規則正しい生活が定着していると、お腹が空くべく時間にお腹は空くものです。
●精神的ストレスがある
胃はストレスの影響をとても強く受けます。逆に考えると胃の調子が保たれていれば、少々のストレスの中でも、病気にならずにやっていくことができます。五行説(東洋医学の基本的な考え)では、ストレスによって起こる胃などの消化器の不調を「肝脾(胃)不和」といいます。この状態をよくすためには、胃に対してだけ目を向けても対症療法にしかなりません。対症療法も行いつつ、なるべく根治を目指しましょう。
●夕食をたくさん食べる、夕食の時間が遅い
夕食が終わってから寝るまでの間に消化が済んでいないと、睡眠時間中も胃に負担をかけることになります。そのため翌朝は食欲もわかず、朝食はあまりすすみません。「食べる」という行為は体だけでなく、こころも満たすものですから、朝食や昼食で得られなかった満足感を夕食で補おうとして、また夜に食べ過ぎるといった悪循環となってしまいます。
●運動不足
運動不足になると自律神経の働きをにぶくします。胃の働きは自律神経の副交感神経が優位になると活発になります。しかし副交感神経を働かせようとリラックスばかりしていても、体はうまく反応してくれません。適度に運動し交感神経を優位にすることで、その後バランスをとろうと副交感神経は活発になります。
●加齢
歳をとれば速く走れなくなったり、重たいものが持ち上げられなくなったりするのと同じように、消化力も衰えます。いつまでも若い頃と同じはなく、無理をするとケガをしてしまいます。食生活を急には変えられない人も多くいます。
胃を労わろう
これらのことを減らせば胃もたれは楽になります。「加齢」以外はやろうと思えばすべて自分でき(自分しかできません)、誰もがすでに知っていることです。しかし胃もたれの人がいなくなることはありません。問題は知っていることをいかに実行するか、つまり生活に合わせた「自分なりの工夫」が必要です。
美味しいもの食べる、いっぱい食べる、いっぱい飲む、このようなことで「一人の自分」は満足します。しかし一人の自分を満足させる行為は、もう一人の自分に「胃もたれによってつらい思い」をもたらしています。二人の自分を平等にかわいがってあげてください。
胃もたれは、胃の働きすぎです。許容範囲をこえて労働をしいられた結果として胃もたれは起こります。どんなものにも個人差があるように、胃も働ける量は人によって同じではありません。普段から胃を労わることは大切ですが、胃もたれがあるときは、特に胃にとって十分な休養をとるようにしてください。痩せている人に胃もたれが多いことをみれば、胃もたれには遺伝要因もあります。だからこそ、そのような人こそ養生が大切です。
胃のセルフマッサージ
胃から肋骨にかけて、ツボでいえば中脘や期門の辺りに手のひらを当てて、円を描くようにマッサージします。ただ手をおいておくだけでもOKです。
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