太極拳で肩こりを解消する「沈肩垂肘」
太極拳要諦
太極拳は何のためにやるのか?おおよそ、強くなるため、健康になるため、競技太極拳として試合に勝つため、のどれかにあてはまります。つまり要諦が体現できているのであれば、より強く、より健康で、試合において勝つ可能性が高くなるということです。
沈肩垂肘とは
沈肩とは肩を落とす(上げない)、垂肘とは肘を垂らすことです。これだと字を読んだままなので、もう少し説明(上田なりの)を加えます。沈肩の反対は肩が上がってしまうこと、別の表現なら、首がすくむこと、肩甲骨が上がることです。これらはいずれも僧帽筋や肩甲挙筋・菱形筋に力が入った状態です。ふだんはこれらの筋肉と腕の重さとが拮抗していますから、首がすくんだり、肩甲骨が挙がったりということにはなりません。つまり沈肩とは僧帽筋や肩甲挙筋・菱形筋に「必要以上に」力が入っていないことです。
垂肘とは、上腕二頭筋と三角筋および棘上筋に必要以上に力が入っていない状態です。上腕二頭筋は肘を曲げる筋肉ですから、前腕の重さよりも、上腕二頭筋に入る力の方が大きいと肘が曲がります。三角筋は腕を挙げる筋肉ですから、この筋肉に力が入ると肘を含む腕全体が挙がります。
どの筋肉も動作をしながら完全に力を抜くことはできません(抜いてしまったら動けない)。立位や坐位でいるときは、常にこれらの筋肉に多少の力が入っています。要するに沈肩にしても、垂肘にしても、肩などの筋肉に「力を入れ過ぎないように」ということになります。
主婦労働とデスクワーク
●主婦労働
掃除、洗濯、炊事などは腕全体を大きく使います。肩甲骨を固定してこれらのことを行います。(肩や上腕は固定していません)。つまり肩甲骨を固定するための僧帽筋・肩甲挙筋がこるのが主婦型の肩こり。
●デスクワーク
ワープロを打つなど前腕から指にかけての活動を行うために、肩甲骨を固定し、さらに肩関節を固定します。つまりデスクワークによる肩こりは、僧帽筋・肩甲挙筋に加えて、三角筋、棘上筋、棘下筋、大円筋、小円筋、大胸筋、小胸筋などの筋肉がこるといった特徴があるということになります。
主婦労働型、デスクワーク型のどちらも対象物をブレずにみるために頭部を固定します。これにより後頚部がこります。頭部固定に使われる筋肉は、上後頚部深層・上背部深層にある後頭下筋、頭板状筋、頭半棘筋などです。最近問題になっているストレートネックはこれらの筋肉が過度に伸長してしまった状態です。
太極拳、主婦労働型、デスクワーク、やり過ぎればこる
主婦やデスクワーカーの労働時間がどれくらいなのか、これには個人差も相当あります。しかし、主婦の主婦業よりも、デスクワーカーのデスクワーク時間よりも、長く太極拳をやる太極拳家は多くはいないでしょう。よって太極拳をやり過ぎて首や肩がこったという話は聞いたことがありません。太極拳、主婦労働、デスクワーク、それ以外、どんなことでも許容範囲を超え活動を強いられた筋肉はこります。
それぞれの目的がなるべくかなうように
主婦業、デスクワーク、太極拳、それ以外、ものごとには適量があり体調を崩してまでやってしまっては、長い目で見たときにパフォーマンスも生産性も落ちます。しかし仕事でやる以上、やらなくてはならない現実があります。沈肩垂肘とは、ごく簡単にいえば「肩の力を抜く」と解釈しています。動かしたら休ませ、伸ばしたら収縮させ、緊張した後は緩ませるなど、反対の性質のことをやれば筋肉は蘇ります。
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