逆流性食道炎、おだやかでない
胃液が逆流して、食道の粘膜を傷つけてしまうのが「逆流性食道炎」。原因としては、食べ過ぎによる膨満、ベルトをきつく締めすぎるなどで腹圧が上がる、食後すぐに横になったり、前かがみになるなどの他、胃の手術の後遺症や胃の一部が食道側へはみ出す食道裂孔ヘルニアがあると起こりやすくなります。
器質的・物理的原因がない逆流性食道炎
上記以外、横になったわけでも、逆立ちしたわけでも、手術したわけでもないのに、逆流性食道炎が起こる場合があります。胃の働きは自律神経によって営まれています。自律神経とは、自分の意思とは関係なしに働く神経で、消化も自律神経の活動によって行われています。食べるという行為は自ら行います。しかし食べた後はとくに何もしなくても自動的に消化され、栄養素は体内に取り込まれます。食べたら後は自律神経任せということで、消化活動を意識的に行うことはできません。しかし、胃や腸や自律神経の働きがうまくいくように協力してあげることはできます。
自律神経は脳の「視床下部」というところが司令塔になって働いています。視床下部は大脳からの影響を強く受けます。精神的なストレス刺激は大脳から視床下部へと伝わり、それによって自律神経が乱れると、自律神経によって営まれている体の機能すべてがおかしくなる可能性があります。その一つが逆流性食道炎です。
東洋医学的にみると
東洋医学的にみると、精神的ストレスによって起こる逆流性食道炎は、肝脾不和による「胃気上逆」で、気の流れが逆になるおだやかなる状態です。ストレスによって、体内の気を巡らせるための「肝」がうまく働かなくなると「肝気鬱滞」となります。この状態が長く続いたり、短い時間であってもストレスが強いと、その負のエネルギーが消化器系に向けられ、胃や腸などの働きが悪くなったものが「肝脾不和」。「脾」とは胃や腸などを含む消化系機能のことです。通常、胃の気の流れは上から下で、胃液が逆流するのは本来の姿ではありません。逆流性食道炎を改善させるためには、胃の気の流れを元に戻す必要があります。
逆流性食道炎を改善させるために自分でできること
機能性逆流性食道炎を改善させるためには、まずはその原因をなくすこと。原因の多くはストレスですから、ストレスをなるべく減らすということになります。ストレスが溜まらないよう、自分なりに発散することが大切です。どのような方法でもいいのですが、食べることによるストレス発散は気を付けなければなりません。
●規則正しい生活
規則正しい時間に胃に食べ物が入ってくると、準備のできている胃は、無理なく消化という自分の仕事をすることができます。遅い時間に夕食を取ることや、食べ過ぎ飲みすぎは胃腸に負担をかけることになりよくありません。脂肪分の多い食事などは消化に時間がかかり長く胃に停滞するため、逆流しやすいので気を付けましょう。
逆流性食道炎と鍼灸
鍼灸では、逆流性食道炎に対して、脾胃の働きを高めるための「健脾益気」と、肝の流れをよくする「疏肝理気」という治療を行うことで対応します。急場をしのぐことは大切ですが、そうならないよう予防養生として鍼灸を受けるのが理想的です。
逆流性食道炎と呼吸法
本来、胃の気の流れは上から下です。肺の気も上から下へと流れるため、深い呼吸によって肺気が調えば胃気も調子を取り戻します。吸ったときにお腹が膨らみ、吐くときにお腹がへこむ腹式呼吸は横隔膜を動かすことになり、胃や腸などにも適度に刺激を与えることができます。また腹式呼吸は自律神経の面からみても、胃の働きを正常にするのに有効です。鍼灸で胃の治療をする際に、胃経のツボで効果が表れない場合、肺経のツボうを使うことがあるのも、そのような理由によります。
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