月経痛を放っておかない
お腹や腰が痛くなる「月経痛」は、月経時、子宮内膜がはがれるさいに子宮が収縮し、子宮やその周辺組織にある痛覚(※体中に点在している痛みのレセプター)が興奮して起こります。また子宮を収縮させるために子宮内膜より分泌されるプロスタグランジンが痛みを発する物質でもあり、子宮頚部の緊張収縮が強いほど痛みも強くなります。
子宮内膜症との関係
子宮内膜と同じような組織が、子宮内膜以外のところにできてしまう「子宮内膜症」という病気があります。この子宮内膜症があると痛みがひどくなることが多く、月経痛を和らげるためには子宮内膜症の治療が必要となる場合もあります。またその他の病気が隠れていることもありますから、痛みが激しい場合は一度病院でみてもらいましょう。痛いときに痛みを緩和させる対処療法を施しつつ、長期的に子宮の状態をよくしていく根本療法がとても大切です。
東洋医学的に月経痛をとらえる
東洋医学では月経痛のことを「痛経」や「経行腹痛」といい、体内で気・血・水の巡りが悪くなることが痛みの原因と考えます。そこにいたるまでにはさまざまなケースがありますが、最終的には五臓の不調から気血水のいずれか、もしくはすべての流れが滞ることで痛みが生じます。「不通即痛、即通不痛」という言葉があり、その意味は、気血水などが通らなければ痛く、通れば痛まないということです。ですから、痛みを緩和させ月経痛を予防するためには、通るべきものを通す必要があります。
●寒湿凝滞による痛経
普段から冷え症を含めて、体が冷えていることで痛みがひどくなります。冷えによって気血水が滞り痛みを生じます。
●肝鬱による痛経
気持ちが塞ぎ、気の流れが悪くなることが一番の理由となる痛経です。気の巡りの悪さが胞宮(子宮)の経血を阻滞させ痛経が起こります。
●肝腎陰虚による痛経
先天的の素因によるものが大きく、それに加えて肝腎の力が弱くなることで起こる痛経です。
東洋医学の四大療法
東洋医学(中医学)の4大療法が、鍼灸、生薬、気功、推拿(あんま)です。これらはすべて気や血・水の巡りをよくするために行われます。どれもやりすぎなければ体にとって非常によいもので、状況に応じて治療法を選択し行えば、自然治癒力を引き出すことができます。ただし気功(内気功)は、体調の悪い時にやろうとしても思うようにできない場合もありますから、調子のいいときに行い予防養生に努めるようにします。
月経痛緩和のために自分でできること
●適度な運動
巡りをよくするためには適度な運動が欠かせません。激しいものは必要ないので、運動を習慣にし、継続して行うようにしましょう。
●栄養バランスのとれた食事
食べることで健全な体がつくられます。健全な体であれば気血水の巡りもよくなります。
●しっかりとした睡眠
栄養を摂取するだけでは健全な体はつくられません。適度に運動しつつ、バランスとれた栄養とともに、しっかりと睡眠をとることが大切です。
月経痛を和らげるためのツボ
お灸は体に刺激を与えて気の流れをよくし、痛みの緩和、病気の予防、体のメンテナンスなどに役立ちます。
三陰交:内くるぶしから、指の横幅4本分上の骨の際。
血海:膝のお皿の外上角から、指3本分上。
中極:恥骨から指2本分上、正中線上。
子宮:中極の左右外側、指3本分。
太衝・足の第一指と第二指の間を察上していき、骨に当たって止まるところ。
痛いときにだけ行うのではなく、予防養生のために定期的に行うようにしましょう。
痛みは休めのサインではある
月経痛に限らず痛みは、体を休ませようとするために生じるものです。心身のためには、体の内なる声に従って休むべき、というのは正論です。しかし休むにしても、少しでも痛みが和らぐに越したことはありません。
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