副腎皮質疲労かもしれない

東洋医学に副腎皮質疲労症候群という病名はない

副腎皮質疲労症候群の主な症状は「全身の疲労」です。副腎皮質の機能が低下して、副腎皮質ホルモン「コルチゾール」が分泌されなくなることで疲れやすくなります。他には以下のような症状があります。

●朝起るのがとてもつらい

●異常とも思える疲労感

●便秘や下痢

●甘いものを欲しがる

●疲れすぎて眠れない

●やる気が出ない

●何をやるのもおっくう

●突然悲しくなる

●イライラ、不安感

●ものごとに興味がわかない

東洋医学に、副腎皮質疲労症候群という病名はありませんが、これらの症状は腎虚、また脾虚として考えることができます。よって副腎皮質疲労症候群を改善・予防するためには、腎を補う「補腎」や脾を正常にする「益脾」といった治療法が有効です。また腎の疲労が肝に及び「肝腎陰虚」となると、イライラしやすくなります。さらには心腎不交により、不安感、うつ、不眠などの精神症状が表れるようなります。このようなものに対して東洋医学では、弁証(東洋医学的に病態を把握すること)したのち、それに応じて治療していきます。

副腎皮質疲労症候群

腎虚や脾虚、もしくは副腎皮質が疲労してしまう主な原因は、心身のストレス、睡眠不足、不規則な生活、偏った食生活などです。

腎臓の上にある副腎皮質というところから分泌されているコルチゾールというホルモンは、別名「ストレスホルモン」と呼ばれます。これはストレスが掛かったときに、そのストレスに対応するために分泌されるホルモンという意味で、具体的な作用としては、血糖値を上昇させる、炎症やアレルギーを抑える、胃液の粘液分泌抑制するといったものがあります。

通常、コルチゾールは体に活力を与える物質として、朝から日中に多く分泌されます。夜になると分泌量が減り、心身共にリラックスモードに入ります。これを基本として、ストレスが掛かったときに一過性に分泌量が増えますが、ストレスが取り除かれれば元に戻ります。しかし、ストレスが掛かかり続けると、それによってコルチゾールを分泌しなければならない副腎皮質は慢性疲労状態に陥ってしまい、やがてコルチゾールを分泌したくても、それができないということになってしまいます。このようなことにより様々な症状を呈すようになったものが、副腎皮質疲労症候群です。また副腎皮質からは性ホルモンも分泌されているため、副腎皮質の疲労は不妊症の要因となるといわれています。

腎虚、脾虚

●腎とは生命力の源で、腎虚とは腎が弱ってしまった状態です。腎虚の特徴的な症状として、頭髪が薄くなる、耳が遠くなる、足腰が弱くなる、不眠、不妊、といったものがあり、これらは老化症状であって病気ではありません。しかしこれらが病的に起きたときは治療の対症となります。

●脾とは、現代医学でいうところの、おおよそ消化器に相当します。脾が弱くなれば、エネルギーを生み出すことができず、常に疲れているような状態になります。

予防養生法

●ストレスを除去

ストレスを早めに解消することと合わせて、そもそものストレスを減らすことが重要です。これは船底に穴の空いた船に例えられます。船を沈ませないためには、空いた穴から入ってくる水を汲み出さなければなりません。しかし、それ以上に重要なことは船底を修理して穴を塞がぐこと。船底の修理には時間が掛かることもあるかも知れませんが、少しずつでもやっていく必要があります。

●栄養バランスの取れた食事

炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルの5大栄養素をバランスよく摂取します。栄養を効率よく吸収し、体内においてその効果を高めるために、さまざまな食物を取るようにしましょう。

●腸内環境を調える

腸内の環境が調っていなければ、せっかく取った栄養素を体内に取り入れることができません。そのためには、暴飲暴食や、冷たい飲み物の常飲を避けるようにしましょう。

●規則正しい生活

人間は活動する時間(昼)と人寝るべき時間(夜)とが決まっています。どんな時間であっても活動して、眠りさえすればよいというわけではありません。規則正しい生活とは、自転車でゆるやかな下り坂を下っているようなものです。逆に不規則な生活は昇り坂を上っているようなもので、必要以上にエネルギーを消耗してしまいます。

●質量ともに充実した睡眠と、そのための運動

疲労を解消するためには、睡眠が大切であるのはいうまでもありませんが、神経が高ぶっていると疲れているのに眠れないということが起きます。睡眠を充実させるために適度な運動が効果的です。また東洋医学では、腎が虚すことで心との相交が崩れ「心腎不交」となると、不眠、うつなどの精神症状が表れます。

栄養ドリンクやカフェインの罪

栄養ドリンクやカフェインを摂取して一時的に疲れをごまかしても、それはやせ馬にムチを打つことになります。そのようなことを繰り返せば、事態を悪化させることになりかねません。

馬込沢うえだ鍼灸院



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kiichiro

鍼灸師。東洋医学について、健康について語ります。あなたの能力を引き出すためには「元気」が何より大切。そのための最初の一歩が疲労・冷え症・不眠症をよくすること。東洋医学で可能性を広げられるよう情報を発信していきます。馬込沢うえだ鍼灸院院長/日本良導絡自律神経調整学会会員/日本不妊カウンセリング学会会員//日本動物愛護協会会員

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