便秘のタイプ

便秘は治したほうがいい

便秘は体内で本来巡るはずのものが巡っていない状態ですから、便秘だけで済まずに、他のもろもろの症状を引き起こす可能性もあります。認知症患者さんが便秘だった場合、便秘が改善されれば8割の問題行動がなくなるそうです。便秘は、治したほうがいい。

便秘のタイプいろいろ

●脾虚による便秘

どんなタイプの便秘であっても、すべての便秘は「脾」の不調をもとに起こります。脾とは、現代医学でいえば、胃腸などの消化器の働きを担うものです。便秘は、脾の働きが正常ではないことの表れです。以下に説明する便秘どれもおおもとには、脾虚があります。脾虚に「冷えの症状」が加わったものが「脾陽虚」で便秘の要因となります。脾陰虚や他のものとの鑑別を行うことで、より効果的な治療が可能となります。養生法としては、「胃腸に負担をかけない」ことが基本となります。

●腎虚による便秘

腎とは、両親より受け継いだエネルギーを貯えておくところです(※あくまで機能的・概念的なことであり、特定の場所があるわけではありません。また、現代医学の腎臓と同じではありません)。脾を「後天の源」というのに対して、腎は「先天の源」といいます。後天の源とは、酸素と食べ物から水穀の精微(栄養素のこと)をつくるためにこのように呼ばれ、生物は、後天の精と先天の精によって生命を存続させています。腎と脾は生体における「陽」の源であり、陽の働きが弱いものが「陽虚」で、腎陽虚、脾陽虚があります。腎を補うために、もっとも大切なことは、質量ともに充実した睡眠をとることです。

●血虚による便秘

蠕動運動が活発でないと、便が腸内に滞在する時間が長くなり便秘となります。この場合、便を先送りするためのエネルギーが不足しています。血虚は気虚とともに「気血両虚」となり、便秘の要因となります。血虚体質を見極めての治療が功を奏します。血虚の特徴は、髪の毛が細い、または髪の毛が抜けやすい、爪が割れやすい、足などの筋肉が痙攣しやすいなどの肉体症状の他、夢を見ることが多い、不安感が多い、物忘れしやすい、といった精神症状もあります。血虚を補うためには、しっかりと睡眠を確保すること。胃腸に負担をかけないようにしつつ、必要な栄養素をとることが重要です。

●陰虚による便秘

陰虚とは、体内の「陰分」が減った状態です。水分(潤い)、睡眠、物質的要素、といったものが陰分に含まれます。便秘は、便の陰分である水分が少ないために生じています。よって陰分を補う「補陰」が治療原則ということになります。摂取した水分を便に届かせるためには、陽の力が必要です。飲食物を取りつつ、運動により体内で陽を生じさせることがアプローチの方法ということになります。また、運動により睡眠が深いものとなり、陰を補うことにもつながります。

●気滞による便秘

気滞とは、気の流れが滞ってしまうこと。便秘には、先に述べた、蠕動運動が不活発で起こる以外に、腸が痙攣(活動はしている)により、便を先に送れないものがあります。過敏性腸症候群による便秘などはこれに該当します。いかに気持ちを穏やかに保つようにすることが、改善のポイントです。

●湿熱による便秘

湿とは、体内に溜まった余分な水分で、本来はないはずのものです。脂っこいものや甘いもの、アルコールの取り過ぎにより生じます。便の状態は、陰虚などに見られる兎糞(コロコロ便)状ではなく、粘っこく、また排便後にスッキリしないといった傾向にあります。飲食の不摂生を改め、湿を追い出すために適度な運動を心がけます。

●血瘀による便秘

血瘀とは、血の巡りが悪い状態で、それにより生じたものを「瘀血」といいます。血の巡りが悪いということは、気の巡りも悪く、便秘となります。血瘀の特徴には、顔色がくすんでいる、肩がこりやすい、女性なら月経血に塊が多い、月経周期が長くなりやすい、舌の色が暗紅色といったものがあります。

このように、東洋医学的にみると、便秘にはいろいろなタイプばあります。一人の人が一つのタイプというわけではありませんが、便秘には便秘をよくしていこうというとき、そのタイプを知っておくと、より効果的な(自分に合った)方法が見えてきます。

きれいなお肌のために便秘を解消

便秘によって排出されない毒素は、体内を巡りお肌の不調となって表出します。きれいなお肌のために、まず取り組むべきは便秘を解消させることです。

心身一如、こころと体はつながっている

便秘の解消によって、認知症の人の問題行動が大幅に減るといった話があります(一説によれば8割)。気分の塞ぎこみが便秘の要因となり、また便秘だと気分が晴れないといったことを感じている人は、とても多いと思われます。

便秘薬の使い過ぎ

便秘薬に頼り過ぎると、本来もっているはずの「排便能力」が衰えてしまい、薬が手放せなくなるといった悪循環に陥ります。すぐに薬を完全にやめることはできなくても、いずれはやめるといった心構えで、生活習慣を改善していきましょう。

便秘の解消と鍼灸

タイプを見極め、それぞれに合わせた鍼灸を行うことで、効果的な治療を行うことができます。

馬込沢うえだ鍼灸院



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kiichiro

鍼灸師。東洋医学について、健康について語ります。あなたの能力を引き出すためには「元気」が何より大切。そのための最初の一歩が疲労・冷え症・不眠症をよくすること。東洋医学で可能性を広げられるよう情報を発信していきます。馬込沢うえだ鍼灸院院長/日本良導絡自律神経調整学会会員/日本不妊カウンセリング学会会員//日本動物愛護協会会員

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