心の華は顔、肺は皮毛を主る
心は血脈を主る(しんはけつみゃくをつかさどる)
心は血脈を主るとは、「心臓が血液によって、体の各細胞に栄養と酸素を送り届ける」という意味です。酸素は「肺」、栄養は「脾」によって送り届けられます(※心と脾の関係については既述しています)。
「心肺機能」というように、心と肺は切り離すことのできない間柄です。当然のことながら、肺によって取り込まれた酸素(東洋医学的にいえば清気)がなければ、心は血を送ることはできず、五臓六腑・四肢百骸は活動することができません。
心の華は顔、肺は皮毛を主る
心の不調は動悸や不整脈など、肺の不調は呼吸困難となって表れるだけでなく、顔色や皮膚の状態に反映されます。
「血色がよい」といったときの血色は、顔色のこと。「心の華(その臓腑の特徴がもっとも表れるところ)は顔」とは、心の働きが活発であれば顔色はよいということです。
「肺は被毛を主る」の皮毛とは、皮膚と体毛のこと。肺の働きが正しく行われていれば、皮毛は活き活きとし、色もよく、艶やかなものとなります。
心と肺を補う
心と肺の動きが止まれば文字通り心肺停止の状態です。生きている以上、心も肺も活動していて、生きていることが心肺が動いている証明といえます。心と肺の働きが低下すると、酸素や栄養が充分に全身に行き届くことができません。その表れとして、顔や皮膚の色艶が悪くなります。心や肺の状態は顔色や皮膚の色艶に表れるということは、逆に考えれば顔色や皮膚の状態をよくするためには、心や肺を活発に働かせるということになります。
五臓はすべてつながっている
顔や皮膚の問題を、顔や皮膚だけで解決しようするのは効率的とはいえません。顔色や皮膚を色艶のいい、美しいものにするためには、心や肺ひいては全身の調子を底上げすることが不可欠です。
心肺のためにできること
●規則正しい生活
心身は無理を強いられると病気になります。不規則な生活は、常に坂道を登り続けているようなもので、自分でも知らず知らずのうちに無理をしてしていることになります。日中は活動して夜はしっかりと眠るという人間の生理にかなっていま規則正しい生活は、心身に無理を強いることがありません。このような生活は緩い下り坂を自転車で下っているようなものといえるでしょう。
●適度に運動する
心身の営みを、自然のリズムに合わせるためには、日中の活動と、それに見合うだけの深い眠りによる十分な休養が必要です。適度に運動することで、生活をメリハリのあるものにしましょう。
●体を温める、冷やさない
心や肺ががんばって働いても、体が冷えているとそのがんばりが充分に体に活かされません。運動によって心肺を働かせることが冷えを改善になるのですが、それ以外でも体を温めるのことができれば、心肺をかさらにサポートすることになります。冷え症を改善するには、交感神経の働きを緩めることがポイントになります。具体的な方法としては、なるべくストレスの少ない生活を送る、入浴時には湯船につかる、冷たい飲食物など体を冷やすものは避ける、といったことです。