帯下は冷えによる湿の停滞

帯下(こしけ・たいげ)とは女性の膣より流出する粘稠性の生理的分泌、「おりもの」のことです。膣内を潤し、外部から病原菌などが侵入するを防ぐ役割や、精子の輸送を助けるといった働きをもち、閉経前の女性であれば誰にもあるものです。帯下の量が増え、色、質、臭いに変化が生じたり、それにともなう全身の症状があらわれたりしたものを「帯下病」といいます。

帯下病の原因

帯下の外的要因としては、トリコモナス、カンジタ、クラミジアなどの細菌による感染症の他、子宮筋腫や子宮癌などの子宮の病気、卵巣の病気も帯下の量が増える要因となります。細菌による感染症に対しては抗生物質が用いられます。

東洋医学的帯下病

細菌は東洋医学的には「外邪」であり、正気が外邪の侵入を許すと病気(外患病)になります。体内を常に巡っている気(正気)が、外から侵入してきた気(邪気)との争いに打ち勝てば、病気にはなりません。

内患病としての「帯下病」は、脾虚による運化機能の失調や、腎虚や産後期に任脈・帯脈(奇経八脈)が失調することで起こります。

●脾虚による帯下:なま物や冷たい飲食物の取り過ぎで、脾陽が不足して「水」の流れが停滞し本来正常な体にはない「湿」を生じます。湿は性質的に重いため下方へ溜まりやすく、帯下となります。脾とは消化器に該当するもので、「運化、昇清、統血」の働きがあります。

「運化」は消化したものを体の各組織に運ぶ働きで、運化機能低下により未消化物を生じたりします。「昇清」は食べ物からつくられた「清(気や血)」を体の上の方へ送る働きのこと。この機能が失調し下焦(体の下の方)において湿が停滞すると帯下となります。統血とは血が血管外に漏れ出てしまわないようにつなぎ留めておく働きの事です。不正出血の主な原因となります。

●腎虚による帯下:過労などにより腎気が失調し「固摂機能」が弱くなると帯下を生じます。固摂機能とは、体の臓器などをあるべきところにつなぎ留めておく働きのことです。

腎は先天の源、脾は後天の源

腎が主る腎の気は両親から受け継ぐものであるため「先天の源」と呼ばれます。生まれたあとは脾の働きによって飲食物からエネルギーを体内に取り入れ、先天の気と合わせて生命活動を営みます。ここから脾は「後天の源」と呼ばれます。

腎も脾もエネルギーの源であり、ともに「陽」を生じます。体内において陽が不足した状態が冷え症で、腎の機能低下による陽の不足が「腎陽虚」、脾の機能低下による陽虚が「脾陽虚」です。

帯下を予防するために

体が冷えていると気化作用低下から湿が停滞し帯下を生じます。また冷えによって体の抵抗力が弱くなる細菌に感染しやすくなります。これを予防するためには体を温める必要があり、自分でできることとしては汗をかくことです。

●入浴時には湯船に浸かる

体が著しく虚しているときにあまり長湯をすると、かえって体力を奪うこともありますから、自分の体調をよく観察しながら無理のないよう気を付けます。

●適度な運動

運動することで自分の力で熱を産みだせるようになります。望ましいのは、歩く、走るといった有酸素系運動と筋力トレーニングの両方をとも行うことですが、運動の種類はどのようなもので構いません。がんばり過ぎずに継続していくようにしましょう。

●栄養バランスの取れた食事

飲食物には体を冷やす「寒」の性質のものと、体を温める「熱」性質のものとがあります。バランスよく食べていれば、どちらかに偏ってしまう心配はあまりありません。しかし自分ではバランスよく食べているつもりでも、実は「寒」のものを多く摂取していることもあります。なま物、なま野菜、清涼飲料水などはなるべく控えるようにします。また精製された砂糖は体を冷やすといわれています。取り過ぎに気を付けましょう。

●しっかりと寝る

虚を補うために最も有効とされることは、質量ともに充実した睡眠です。冷え症の人は寝つきが悪かったり、眠りが浅かったりする傾向にあり、帯下病の多くは冷えからきています。冷え症と不眠の両方に目を向け治癒をしていきましょう。

馬込沢うえだ鍼灸院





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kiichiro

鍼灸師。東洋医学について、健康について語ります。あなたの能力を引き出すためには「元気」が何より大切。そのための最初の一歩が疲労・冷え症・不眠症をよくすること。東洋医学で可能性を広げられるよう情報を発信していきます。馬込沢うえだ鍼灸院院長/日本良導絡自律神経調整学会会員/日本不妊カウンセリング学会会員//日本動物愛護協会会員

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