気沈(沉)丹田を意識してみよう
丹田はどこにあるか?
丹田とはどこか?いくつの説があるようですが、丹田はツボでいうところ(おへその下、正中線上、指の横幅約4本分)の関元穴から体の奥に入った骨盤腔内にあります。丹田には、上丹田、中丹田、下丹田があり、単に丹田といったときは下丹田のことを指します。解剖学的に人体の重心がある場所です。
気を沈める
気沈とは、意識を丹田におくこと。もちろん丹田にだけ気があればいいわけではありません。気は全身を巡るものですから、そのようなことはやろうと思っても不可能です。太極拳要諦の「気沈丹田」とは、気は全身を巡りつつも、一定量、常に丹田にあることが重要ですよと、そういうことです。気は陽的なもので、陽には遊離や拡散、疏泄といった性質があります。そのような性質をもつものだからこそ、気としての種々の働きができるのです。頭を使い、体を使うといったことで気は消耗し、いつの間にか気が丹田から離れてしまったり、丹田の気の量が不足してしまったりします。それを防ぐための要諦として、気沈丹田はあると考えられます。
東洋医学との関係
東洋医学は、特徴として「目に見えないものでも重視」します。血・水とともに体内を巡るエネルギー物質の一つである「気」は目にみえるものではありません。しかし、それが生命にとって不可欠であれば、それを重要なものとして考えるのは当然です。気には、大気中の清気と飲食物とによって作られる「後天の気」と両親より受け継がれる「先天の気」があり、先天の気は後天の気によって補われます。先天の気は五臓の「腎」にしまわれていて、生命の源である腎はとても重要なものです。例えば、生命が生み出される妊娠出産は腎の力が主体となってなされます。また精神の病は、腎と心の相交状態か崩れてしまったために起こるものが多く、精神を良好にするためには腎を補う「補腎」が必要です。
気沈丹田を意識する
太極拳を行う理由は、武術的に強くなるため、心身の健康のため、競技太極拳でよい成績をおさめるため、のおおよそどれかに当てはまります。ふだんあまり、もしくはまったく意識することのない丹田というものに目(心)を向けることで、あなたの目標とするものがあなたのもとに近づくもしれません。そのための手段として太極拳をやってみるのはいかかでしょう。