腎虚の人は膝や股関節を傷めやすい

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腎虚とは

腎が弱いことを腎虚といいます。腎とは人体を構成している五臓のうちの一つ (他に、肝・心・脾・肺がある) で、先天の精(腎精)を主ります。先天の精とは、両親から受け継ぐエネルギーのこと。人や動物は先天の精を有して生まれ、その後、飲食物から得られる後天の精と先天の精をエネルギーとして生きていきます。 腎精 は後天の精によって、常に補充されています。

腎精は生命力の根源

腎精は、生命力、成長、生殖力の根源となるもので、腎が衰えると、足腰が弱くなる、耳が遠くなる、髪の毛が薄くなる、といったいわゆる老化現象が表れます。また骨や関節も腎が主っているため、腎が弱くなると、骨密度の低下から骨折しやすくなったり、膝や股などの関節を傷めやすくなります。関節の障害には慢性的なもの、急性的なもの、慢性期の中の急性的なものがあります。

膝痛や股関節通を緩和、予防するために

膝や股などの関節疾患による痛みをできるだけ緩和し、再発を防ぐために必要なことは以下の通りです。

☆急性期の場合

まずは痛みを取ること。その手段としては、投薬(塗り薬、貼薬、 経口薬 )、アイシング、サポーターなどがあります。後に説明する「筋力の強化」は急性期の痛みが取れてから行うようにします。

☆慢性期の場合

膝や股周りを中心に筋力を強くすることで、関節に掛かる負担を軽減させます。具体的な方法として次のようなものがあります。

〇膝のトレーニング

●スクワット、レッグエクステンション(膝伸ばし)、ボールつぶしetc

膝伸ばしはイスに浅く腰掛け①膝を曲げたりする方法と、②膝を伸ばしたまま上下に動かす方法とがあります。曲げたり伸ばしたりするのが痛かったり、辛かったりする場合は、②の方法で行います。

ボールつぶしは、床に長座位になり伸ばした膝の裏に直径20cmほどのボール や丸めたバスタオル をおき、膝の裏でそのボールをつぶすようにします。膝をのばすしたときに踵が床から離れます。

いずれも15回を2セットほど行います。

〇股関節のトレーニング

●スクワット、サイドキック、ボールつぶしetc

サイドキックは、股関節を開く運動です。床に横向きに寝て、股関節を開きながら上の方の脚を上げます。このときにお尻の横(中殿筋)が収縮し、固くなります。

股関節のためのボールつぶしは、イスに座って両脚の間に直径20cmほどのボール(丸めたバスタオルでも可)を挟み、そのボールをつぶすようにします。いずれも15回2セットほど行います。またボールを挟んだままスクワットを行うのもよいでしょう。

腎を補う

●しっかりとした睡眠

膝や股関節を傷めやすい人は、腎虚の傾向が強く、日ごろから腎を補うことおすすめします。そのために大切なことは、なんといってもしっかりとした睡眠です。年齢とともに腎が弱くなるのはふつうのことで、眠りが浅くなるのも老化現象の一つであって病気ではありません。しかし、病的な老化現象は改善することが可能です。また腎を補うことは、さまざまな病気の予防になります。

●冷え症を改善する

腎は生命の根源で、人体は陰と陽から成り立っています。つまり腎には腎陰と腎陽があり、腎陰が不足しているのが腎陰虚、腎陽が不足しているのが腎陽虚です。陰とは体の物質的なものや、体を潤したり、冷やしたりするもの。陽は、体の機能、体を温めるものです。例えば、関節がスムースに動く(正確に機能する)ためには、十分な関節内の潤滑液(滑液)が必要です。また炎症を起こしているときは冷やすことで、熱を取らなければなりませんが、ふだんは関節を冷やしてはいけません。そのためにはサポーターなどで保温に努めることだけでなく、冷え症体質を改善していく必要があります。

馬込沢うえだ鍼灸院

kiichiro

鍼灸師。東洋医学について、健康について語ります。あなたの能力を引き出すためには「元気」が何より大切。そのための最初の一歩が疲労・冷え症・不眠症をよくすること。東洋医学で可能性を広げられるよう情報を発信していきます。馬込沢うえだ鍼灸院院長/日本良導絡自律神経調整学会会員/日本不妊カウンセリング学会会員//日本動物愛護協会会員

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