おなかが張って寝苦しい

一時的なものであればいいけれど

夕食は就寝の2時間前、できれば3時間前には済ませておくのが理想的。遅い時間に食事を取ると、寝ている間も胃腸が働くことになり、しっかりと体を休めることができません。たまに、というのであれば仕方もありませんが、頻繁にそのようなことがあると、睡眠の総量(質×時間)の「質」が低下し、睡眠負債を抱えることになってしまいます。

おなかが張って寝苦しいのは痰湿の停滞

痰湿とは、体内の「水」が滞ることで形成された病理産物で、五臓の「脾」の働きが悪いことで生まれます。脾の働きが低下する原因として、暴飲暴食、脂っこいものや冷たい物・アルコールの取り過ぎ、精神的なストレスなどがあります。痰湿が停滞していたとしても、就寝3時間前に夕食を終えるという生活を続けていれば、痰湿はなくなるか、あっても体に悪影響をおよぼすことは少なくなります。おなかが張って寝苦しいのであれば、まずは早めに夕食を済ませるようにしましょう。

湿は中焦に溜まり、上と下とのつながりを邪魔する

脾とは、現代医学でいえば胃腸に相当します。脾の調子が悪く、湿が体の中焦(中央)に溜まると、エネルギー(気・血・水)が上から下、下から上へと行き来する際の障害となり、そのことが睡眠の質を低下させます。

人間の体を上焦、中焦、下焦に分けた場合、上焦には心、中焦には脾、下焦には腎があります。(※肺は上焦、肝は中焦に属します)

眠れない、寝苦しいといった症状は、最終的には心の不調(心血虚、心神不寧、心火独亢)へとつながり、不眠症となります。

日ごろ、心陽は腎陽の働きをサポートしています。腎陽により温められた腎陰(水)は、上焦(心)へと移動し心陰を補い、心陰は心火の独亢(心火の暴走)を抑制しています。

つまり、心と腎は上と下とで協力し、体内エネルギーがうまく循環するように働いていて、これを心腎相交といいます。このバランスが崩れると、心腎相交が心腎不交となり、さまざまな症状があらわれるようになり、不眠もその一つです。痰湿が心と腎の間に居座ることが、心腎不交の原因になるというわけです。

痰湿を除去して快適な眠りを得る

おなかが張って寝苦しいという場合、それを解消するためには「健脾利湿」「虚痰除湿」「温補利湿」することが必要です。

●健脾利湿

具体的な方法としては、まずは胃腸に掛かる負担を減らすこと。暴飲暴食、遅い時間の飲食、脂っこいものや甘いもの・アルコールを控えます。

●虚痰除湿、温補利湿

体内に入ってくる多すぎる「水」を減らしつつ、現在溜まっている痰湿を追い出します。そのために運動や入浴(サウナ)によって、積極的に汗をかくようにします。運動や入浴は体を温め、温煦・気化作用を促進させます。あまり体力のない人は、がんばりすぎて、エネルギーを消耗にしすぎないように気をつけましょう。

眠りはすべての基本です。痰湿を取り除くことで、好循環が生まれます。

馬込沢うえだ鍼灸院



kiichiro

鍼灸師。東洋医学について、健康について語ります。あなたの能力を引き出すためには「元気」が何より大切。そのための最初の一歩が疲労・冷え症・不眠症をよくすること。東洋医学で可能性を広げられるよう情報を発信していきます。馬込沢うえだ鍼灸院院長/日本良導絡自律神経調整学会会員/日本不妊カウンセリング学会会員//日本動物愛護協会会員

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