湿疹、皮膚炎、お腹を冷やしてはいけない理由

「疹」は、皮膚にできる小さなふきでもののこと。湿と疹とで「湿疹」ですから、湿疹は体に溜まった「湿」が皮膚に表出した状態です。湿とは、体内に生じた余分な水分のこと。湿に含まれる老廃物の割合が増えたものを「湿濁」と呼びます。

湿疹に似たものにじんましんがあります。じんましんは、短時間で急激に発症し治まるのも早いという特徴があり、湿疹は、じんましんに比べると、時間的経過の長いかゆみを伴う皮膚の慢性炎症です。

痒いからかくのか、かくから痒いのか?

湿疹や皮膚炎はかくことで悪化してしまいます。痒みの大本を治療することはもちろん必要ですが、状況を悪化させないためにはかいてはいけません。痒みをごまかしたり、うまくやり過ごすことも大切です。そのための方法として手を遊ばせないこと。暇になると大してお腹が空いていなくても、つい食べてしまうように、手が空いてしまうと無意識のうちにかいてしまいます。それを防止するためには、常に手になにかーボールでもハンカチでもいいのでーを持っているようにします。

体内循環を悪くする瘀血、湿

古来より東洋医学では、本来であれば体内をスムーズに巡っているはずの、気・血・水が滞ることで病気になると考えます。どのような病気であっても治癒のためには、悪くなった気・血・水の巡りをよくしなければなりません。血の巡りが悪くなると「瘀血」、水の巡りが悪くなると「湿」や「痰飲」(「水毒」と呼ぶこともあります)といったものが生じ、この病理産物がさらに気血水の巡りを悪くさせるという悪循環を生んでしまいます。

湿疹をよくするポイント

気も血も水も「気」の力によって動きますから、血も水も巡りを改善させるためには気を補う必要があります。肉体的・精神的ストレスによって気の力は弱くなります。湿疹や皮膚炎を改善させるためには、気血水の巡りをよくする必要があり、そのためのポイントは次の通りです。

●栄養バランスのとれた食事

アルコールや甘いものの飲みすぎ食べ過ぎをはじめ、飲食の不摂生によって湿が生じやすくなります。炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルを過不足なく摂取するようにします。現在、湿疹や皮膚炎で悩んでいる方は、今一度食生活を見直してみましょう。

●規則正しい生活

自然界の一部である人間は、太古の昔から日中は活動し夜は休むというサイクルで生活してきました。このリズムに合わせれば、無理をせずに生きていくことができます。しかし寝るべきはずの夜に起きていたり、昼に寝ていたりするのは本来の姿ではありません。このような自然の流れを無視した生活は、体にとても負担をかけることになります。負担のかかった体は治癒力を発揮することがあできません。

●精神的ストレスを溜めない

皮膚は肺との関りの深い臓腑で、肺や皮膚は呼吸を行っています。精神的ストレスによって気の巡りが悪くなることが、湿疹や皮膚炎を悪化させる大きな要因となります。五行で見れば、こころ(心)は火、肺は金と相応します。こころ(心)のストレスは、火が金を溶かすように負のエネルギーとなって、肺や皮膚を侵襲します。これを「火克金」といって、湿疹や皮膚炎を患う人にとても多くみられます。また大腸は肺と表裏の関係にあり、お腹の調子が悪いと湿疹や皮膚炎が起きやすくなります。

●体、とくに「お腹」を冷やさない

胃で消化、大腸で吸収された食べものは血液によって体中を巡り、各器官を滋養します。胃や腸が冷えていると消化吸収の活動が悪くなり、たんぱく質などの栄養が不完全な形のまま体内に入っていくためアレルギー反応を起こすのではないか、といったことが指摘されています。

湿疹・皮膚炎と鍼灸

東洋医学の治療方針は「人の体をくまなくみる」ということがとても大きな特徴です。西洋医学では皮膚の炎症を治めるために、しばしなステロイド外用薬が使用されます。テイロイドもその用い方によっては症状を軽減させるための一つの手段でしょうが、東洋医学では、病状に対してワンパターンの治療ということはありません。湿疹や皮膚炎でも、そこに至るまでの過程は人によってそれぞれですから、その人の体質や状況によって、治療の際に使うツボなどが変わってきます。

自分でお灸をやる

お灸には気血水の巡りをよくする、自律神経を整えるといった効果があり、湿疹や皮膚炎に有効です。下記のツボには、除湿、温補などの働きがあります。

肓兪:おへそから上下左右に、自分の指の横幅2本分のところ。

陰交:おへその下、指の幅1本分、正中線上。

水分:おへその上、指の幅1本分、正中線上。

足三里:膝のお皿の下の外側のくぼみから、指の幅4本分舌の骨の際。

温めるのは基本的にはよいことだが

温めるのは基本的にはよいことです。温める方法には主に飲食物によって体の中から温める方法と、入浴などで体の外からのものがあります。外から温める方法は皮膚を刺激することになりますから、それによって症状が悪化しないよう気を付けなければなりません。入浴時のお湯の温度はぬるめにします。また肌に触れる衣類も化学素材のものは避けましょう。

習いごとを減らしたらアトピー性皮膚炎がよくなった

習い事を週5回から2回に減らしたらアトピー性皮膚炎がよくなった、という話があります。接触性の皮膚炎(かぶれ)など原因のハッキリしたものなら、それを回避すれば皮膚の炎症は治まります。原因不明とされる湿疹や皮膚炎も多くありますが、そのほとんどに精神的ストレスが関わっていといってもいいでしょう。対処法としては、そのストレスから身を遠ざけるか、ストレスがかかっても大丈夫なように心身の調子を良好にしておくということになります。ストレスから身を遠ざけるというのは難しいこともあります。できる限り両方からアプローチしていくのが、効果的であり現実的です。

馬込沢うえだ鍼灸院



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kiichiro

鍼灸師。東洋医学について、健康について語ります。あなたの能力を引き出すためには「元気」が何より大切。そのための最初の一歩が疲労・冷え症・不眠症をよくすること。東洋医学で可能性を広げられるよう情報を発信していきます。馬込沢うえだ鍼灸院院長/日本良導絡自律神経調整学会会員/日本不妊カウンセリング学会会員//日本動物愛護協会会員

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