鬱病は肝からはじまる
新芽が空に向かって伸びるように
東洋医学(中医学)の治療を行う上で基本となる考え方が陰陽論と五行論。春は「肝」の季節です。肝の主な働きは「疏泄」といって体内の気血水を体の隅々にまで送り届けること。肝は自然界でいえば「木」の性質をもつため「肝木」といいます。ちなみに心は火、脾は土、肺は金、腎は水です。肝木は色で言えば「緑」。脾土の色は「黄」。土から栄養を得た肝木は、青い空に向かって鮮やな新芽新緑を伸ばします。空と土、青と黄の中間に位置する肝の色が緑です。「青春」という言葉もこれが由来となっています。
「♪重いコートにぬいで~、出かけませんか~?」という春の歌がありました。新芽が空に向かって伸びるように、人も春になれば気持ちも足も外に向きます。それが自然な姿です。木は本来上へ上へと伸びる性質で、「困」の字の如く木はこれを邪魔されるの大嫌いです。陰から陽へ移り変わる春は、自律神経やホルモンのバランスが崩れ、ただでさえ精神が不安定になりがちです。そこに加えて「疏泄」の仕事を全うできないとなると、そこから不調は始まります。
新型コロナウィルスで困ること
大嫌いなことを強いられ、それを無理してやらなければならいような環境に長く身をおくと、人や動物は体調がおかしくなります。新型コロナウィルスで心配なのは、感染によって、最悪の場合命が奪われてしまうこと。しかしそれだけではありません。医療の崩壊、DV、差別、倒産、失業、そして鬱病。これらはすでに始まっています。怖いのはこれらはすべてつながっていて、負の連鎖を生み出してしまうことです。
肝鬱を機にさまざまな病気が悪化する
東洋医学に「肝鬱」という言葉があります。本来淀みなく巡っているはずの体内の「気」の流れが悪くなるのが「気滞」、精神的ストレスによって生じた肝鬱と合わせて「肝鬱気滞」となり、多くの病気はここから始まり、そして悪化していきます。
精神的ストレスを最初に処理しようと働くのが肝。肝で処理しきれなかった負のエネルギーは他の臓腑に波及していきます。肝心火旺、肝脾不和、肝気肺犯、肝腎陰虚・・・。事態を悪化させないためには、早め早めの対応がヒジョーに大切であるのは言うまでもありません。つまりストレスを初期の段階で解消しておくことが、大事に至らしめない最大の策といえます。
ガマンだけでは限界がある
ガマンによって解決できることはありますが、ガマンだけでは無理なのも事実。新型コロナウィルスとの闘いは長丁場になるであろうことが予測されます。知恵と工夫と思いやりとガマンで、みんなで乗り切りましょう。こころはいつだって自由です。
↓クリックしていただけるとうれしいです。
2件のフィードバック